富士山とともに
次の100年へ

自然環境に配慮した事業の推進—気候変動

基本的な考え方

気候変動は事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、これらに対応していくことが富士急グループの長期的な存続と成長に重要であると認識しています。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にあわせて、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク、4℃シナリオと1.5℃シナリオを活用)と物理的な影響に伴うリスク(物理リスク、4℃シナリオと2℃シナリオを活用)に分類し、主に運輸業、レジャー・サービス業の重要なリスクおよび機会を析出し、対策を講じています。なお検討においてはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)等のシナリオを参照しました。

1.リスクと機会

分類 項目 財務的影響 時間軸※1 重要度※2
移行リスク 市場 電力等のエネルギーコストの増加 間接費(運営費)の増加 長期
技術 電気自動車の普及による鉄道の環境優位性の低下 製品およびサービスに対する需要低下に起因した売上減少 長期
環境配慮型のバスやタクシーの導入コストの増加 資本支出の増加(設備投資の増加) 中期
政策 炭素税導入等によるコストの増加 間接費(運営費)の増加 長期
物理リスク 急性 自然災害の頻発による当社グループ施設への被害の発生、損害保険料の増加 保険料の上昇 長期
台風や豪雨の頻発による鉄道、バス運休 生産能力低下による減収 長期
慢性 気温上昇や降水量の増加による屋外遊戯施設、アウトドア施設利用者の減少 製品およびサービスに対する需要低下に起因した売上減少 長期
別荘地の気温上昇による避暑地としての機能低下 製品およびサービスに対する需要低下に起因した売上減少 長期
熱中症などの労働災害の増加 生産能力低下による減収 中期
機会 製品とサービス クリーンエネルギーである電力を動力とするバスや鉄道への利用者のシフト 製品およびサービスに対する需要低下に起因した売上減少 長期
寒冷期の短縮による利用者の増加 製品およびサービスに対する需要低下に起因した売上減少 長期
都市部から郊外(当社事業エリア)への人口流入 製品およびサービスに対する需要低下に起因した売上減少 長期
レジリエンス 低炭素、環境配慮にいち早く対応することによる投資家や顧客からの信頼向上 資本へのアクセス向上 中期
エネルギー源 自家発電や省エネ化の推進によるランニングコストの減少 間接費(運営費)の増加 中期

※1 時間軸 中期:~2030年、長期:~2050年を想定しています。

※2 重要度 リスク・機会の「発生の可能性」とリスク・機会が顕在化した場合の「事業インパクトの大きさ」とを軸に重要度を評価し、 特に重要度が高いと考えられるものを大で示しています。

2.リスクと機会への対応策

分類 対応策
移行リスク 非化石証書及びカーボンクレジットの購入
低炭素設備機器への更新
太陽光発電設備の導入
国・地方自治体の補助制度の活用
物理リスク 鉄道事業の安全関連対策
(鉄道設備投資計画のうち安全に関する対策)
機会 ICS・ガス設備の電化に伴う投資
EVバスへの切り替え
省エネ設備の導入・更新
太陽光発電設備の導入

推進体制

富士急グループでは関係会社統括部門である事業部がサステナビリティ委員会の事務局部門を兼務していることで、グループ全体のCO2排出を抑える設備導入やエネルギーの再生エネルギーへのシフトなどを管理および推進しています。

CO2排出量実績(Scope1+2)

CO2排出量実績(Scope1+2)

コロナ禍で大幅減

具体的な取り組み

低燃費タイヤの導入

富士急グループでは、燃費向上エコタイヤを導入しています。低燃費運転を目指すことで、排出するCO2を削減し環境への負荷を減らす取り組みを行っています。

森林保全によるCO2吸収の推進

1991年に富士急行株式会社創立65周年記念事業の一環として「富士急記念の森林」を整備し、主にヒノキの植樹を行っています。2008年からは毎年若手社員が中心となって下草刈りや自然に適した樹木の植樹を行っており、現在では2.29ヘクタールの森となりました。ヒノキ林は年間で1ヘクタール当たり8トンのCO2を吸収するといわれており、CO2排出削減にも貢献しています。なお、これ以外に富士山麓には当社が管理している別荘地や森が600ヘクタール以上あり、植樹・剪定などを定期的に行うことで富士山の自然を守る活動に取り組んでいます。