富士山とともに
次の100年へ
自然環境に配慮した事業の推進—エネルギー
基本的な考え方
遊園地や鉄道、バスなどの事業はさまざまなエネルギーを利用する形で成り立っています。富士急グループでは、これらのエネルギーを段階的に持続可能な形へと切り替えています。特に富士急グループのGHG排出量の半分を占めるバス燃料である軽油の削減や、遊園地への再生エネルギーの導入を推進しており、こうした取り組みを通じて持続可能な事業の形を追求していきます。
推進体制
富士急行株式会社事業部(技術・環境・CS推進課)が主導になり、各社の設備の省エネ化・脱炭素化や、バス車両のEV化などの全体方針を策定し、その方針のもとで各社が設備工事や車両を手配していく体制になっています。
※コロナ禍のため、排出量が大幅減
具体的な取り組み
太陽光発電設備の導入
2024年夏、「さがみ湖MORIMORI」に完全自家消費型の太陽光発電設備を設置いたしました。
詳細は下記のとおりです。
容量 | 太陽光パネル容量:534.5 kW パワコン容量:399.9 kW 想定年間発電量:約570,000 kWh |
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設置場所 | 「さがみ湖MORI MORI」(神奈川県相模原市緑区若柳 1634) |
設置目的 | 電力使用によるCO2排出量の削減および買電量の削減によるランニングコストの削減 |
備考 | 令和6年度 東京都補助事業「地産地消型再エネ増強プロジェクト(都外設置)」の対象事業 |
省エネルギーに関する意識の醸成
従業員の省エネルギーに関する意識醸成に向け、さまざまな事例を探索することを推奨し、見聞を深めながら自社の設備や仕組みに導入することを推奨しています。また、今後は当社が主導し、関係会社の担当者を交える形の勉強会の開催なども予定しており、本社、現場の情報交換を活発にすることをグループ全体の取り組みとして推進していきます。
建物の省エネルギー化
本社社屋を含め、富士急グループの保有する各商業施設では、省エネ型の空調機の導入、照明のLED化を実施しています。例えば、富士山麓電気鉄道では、信号や踏切動作反応灯、駅舎照明や踏切照明、車両のリニューアルの際の行先表示器や車内案内装置においてLEDを導入しています。
車両への回生ブレーキの導入
ブレーキのエネルギーを電気に変換し、ほかの電車の加速時に利用し、エネルギーを最大限活用しています。
レンタサイクル「Q-BIKE」の事業化
富士山麓電気鉄道では、環境に優しい2次交通のアクセス整備として、レンタサイクル「Q-BIKE」を2024年3月に実証導入しました。この取り組みは、山梨県都留市、都留文科大学、富士急グループの三者連携協定によって生まれたアイデアがきっかけになりました。実現に向けては、都留市では資金面の補助や地元の協力会社との連携を推進し、大学では自転車で巡るコースを企画提案、これらの体制をもとに富士急グループが事業化するスキームで進めています。段階的に拡大することも視野に入れながら、より持続可能な観光の在り方を追求していきます。
電気バスの導入
2020年3月に山梨県内では初となる電気バスを導入しました。充電した蓄電地の電力でモーターを動かす電気バスは、ガソリン消費ゼロ、排気ガスゼロの環境にやさしい車両です。災害時には電気バスを移動蓄電池としても活用でき、周辺地域にお住まいの方々や観光客を手助けする役割も担います。
車両のデザインは電気バスということが一目でわかるように、コンセントをかたどった「EV-BUS」のロゴをアイキャッチに、そのロゴマークから伸びる枝が富士山の緑につながることで自然環境への配慮と世界遺産・富士山の自然を守り続けていこうという決意を表しています。
ディーゼル車の代わりに電気バスを導入することで、1台あたり年間70トンのCO2排出削減が可能です。2022年度には東日本で初めて国内メーカーによる大型EVバスを導入。2023年度には富士急グループのバス会社6社で新たにEVバス11台(大型9台、小型2台)を導入しました。今後は、数年以内に保有台数を倍以上にすることを目標に掲げています。
軽EVタクシーの運行
2023年11月に山梨県の峡東地域(甲州タクシー株式会社・計2台)と静岡県の富士地域(石川タクシー富士株式会社・計1台)にて軽EVタクシーの運行を開始しました。環境に配慮しつつ、地域の雇用拡大につなげるべくさまざまな方が抵抗なく運転できる軽自動車の「日産サクラ」を採用しました。「日産サクラ」は他の地域でも活躍している、タクシー車両の安全基準に適合した軽EV車両です。
ハイブリッドバス・タクシーの導入
2005年には、ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用した低公害ハイブリッドバスを導入しました。減速時に発生するエネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄え、発進・加速時にエンジンと併用してモーターが作動することで、高出力と低燃費を両立し、低公害にも寄与しています。
『富士山の自然よ、永遠に』という思いを込めて『エバーグリーンシャトル』と名づけられたこれらの低公害バスは、クリーンなバスとして、主に富士登山バスや周辺地域の路線バスに使用しています。
低公害CNGバスの導入
富士急グループでは、より積極的に自然への負荷を低減するために、1995年度に全国の国立公園内では初めての黒煙をまったく排出しない低公害CNG(圧縮天然ガス)バスを導入しました。天然ガスは化石燃料のなかでCO2の排出量が最も少なく、また煤塵の排出もほとんどないクリーンなエネルギーです。
アイドリングストップ機能搭載車の導入
富士急バスでは燃料節約や排気ガス削減のためアイドリングストップを推進しています。停車時に自動的にエンジンを停止させることにより、排気ガスや燃料の消費を抑制します。従来のバスと比較すると地球温暖化の原因であるCO2の排出を約1割削減でき、アイドリングストップ中も冷房送風が可能な装置(自動アイドリングストップシステム)を搭載しています。
EV車の導入
富士急ハイランドでは2022年度に業務用EV車を3台、業務用EVトラックを1台導入しました。2023年度にはフォークリフトなどの園内で使用する作業車を順次EV車に切り替えており、業務用自動車のEV化による富士山麓エリアの環境負荷低減を目指しています。